導入事例
社会福祉法人 一心会 特別養護老人ホーム「ふるさとの杜」
主任・中村正明様、理事長・施設長 古本洋様、課長・清水新様、相談員・佐橋美貴子様

【職員研修】対話のテーマ「自分が入りたいと思う施設」


《ビジネスワークショップ Relational Edutainmentご利用》オープニング前のスタッフ研修として6回約60名様でご利用いただきました!

(写真左から)主任・中村正明様、理事長・施設長 古本洋様、課長・清水新様、相談員・佐橋美貴子様
中村様、古本様、清水様、佐橋様

『深い対話』を大切にしたプログラムの中で、入職時の思いを再確認し、 その思いを語り合うことで仲間意識を醸成

ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下DID)のビジネスワークショップの中でも、より「深い対話」を重視したプログラム「Relational Edutainment(以下リレーショナル)」をご利用いただいた一心会のみなさま。特別養護老人ホーム「ふるさとの杜」開設に向けて、入職されて1カ月弱の全職員のみなさま、6グループに分けてご参加いただきました。ご導入の思いから研修後のお話まで、アテンドの川端(みきティ)とともにお話をうかがいました。

今回、どのような経緯でDIDを研修にご導入いただいたのですか?

古本様(以下、敬称略)「昨年(2014年)の9月頃、テレビでDIDが取り上げられているのを観て、これだ!と思いました。職員研修では、ありきたりのことはやめようと思っていたので、清水に『ちょっと調べてくれ』と言いました」

清水様(以下、敬称略)「まずは『暗闇』というキーワードでインターネットで検索するところから始めました(笑)。問い合わせると、体験会があることがわかり、私を含め3名で伺いました。名前も顔もよく知らない方たちと暗闇でミッションをこなすことにより、けっこう深い関係性になることがわかり、理事長に『良かったと思います。ぜひ体験してください』と伝えました」

古本「互いに一歩離れたところで仕事をしていた3人でしたが、体験会から帰ってくると、ちょうど心地いい距離に縮まり、話ができる関係に変わっていたのです。まずはそこでした! それで、私も体験させていただくことにしたのですが、実は私、閉所恐怖症だと思っていたのです。でも暗闇の中で、ひやまっち(アテンドの檜山)に『もう諦めましょう』と言われ、諦めてみました。初対面の方ばかりでしたがメンバーは積極的な方が多く、何かと言葉をかけていただき、それが嬉しくて、そうか互いに声をかければいいんだと気づきました。そして普段『笑顔、笑顔』と言っている自分は、暗闇では声のトーンで笑顔をつくり、優しく話すようにしました。これが上っ面だけだと相手には絶対わかってしまうのが暗闇なのですね。暗闇のワークでもうひとつ気づいたことがあります。『それは違う、自分はこう思う』ということを、私はその時『そうかもしれないね』と流してしまったのです。普段の自分が出せたなら『いや、違うと思います。これです』と言ったはずなのに、『私がもし間違えていたら……』という警戒心が出て、そんな一面を自分はもっているんだということに気付かされました。鎧を全部脱いでよかったはずなのに、一度また着せてしまったのですね。こうした気付きを得たことで、これはぜひ、みんなに体験させたいと思いました。それほど、暗闇での研修は心に残るものでした」

ありがとうございます。今回、職員のみなさまには、リレーショナルのプログラムをご利用いただきましたが、実際ご体験された当時のことを思い出していただき、その時感じたこと、それが今どう生かされているかなど、教えていただけたら嬉しいです

佐橋様(以下、敬称略)「今でもはっきり覚えています。この研修はずっと忘れないと思います! 私達のグループは、まだ知り合って3日目くらいの時で、まずは待ち合わせ場所を決めたり、電話番号を交換したり、そこから始まっていたんだなというのは、研修が終わってから気づきました。行きのぎこちなさと、帰ってからのほんわかな感じは全く違う。暗闇研修で感じたことを、このまま持続したいと思いました」

中村様(以下、敬称略)「私は路線が違ったので、行きも帰りも1人でしたが、それでもいちおう知っているメンバーでしたので不安もなく、研修を楽しめました。帰りは、みんなで食事をして帰りました。そして、帰りの電車の中で、この研修は何のためだったのか、どんな思いで施設長は行かせてくれたのかなとずっと考えていました。
 プログラムの中に、2チームに分かれ、あるもの(DID注※ここでは非公開とさせていただきます)を完成させるというミッションがありました。うちのチームは4人で役割を決めて、すぐ作ることができたのです。けれどもう1つのチームは役割分担を決めず、みんなであーだこーだ、ガヤガヤ話し合いながら作っていて、結果的には時間内に完成しませんでした。でも、この研修ではどちらが良かったのだろうと思ったのです。役割分担を決めたほうが確かにスムーズに仕事は進みます。でも、うちの施設ではトップダウンではなく、みんなで決めていくと施設長がおっしゃっていることを考えれば、みんなでワイワイガヤガヤであっても、悩んだり衝突したりぶつかったりしたほうがいいのでは?と私なりに思っています。
 そう考えるとこの研修は、『組織の一員になる』ことを考慮した上でのものだろうと思えます。また暗闇では、声を出すとか触れてみるとか、コミュニケーションが基本、必要となります。介護職の人は、ご利用者様とのコミュニケーションはスムーズに取れるのですが、同じ組織内のコミュニケーションは苦手な人が多く、そこを克服するための研修になったのかなと私自身は感じ、いい研修だったと思っています」

川端(以下、みきティ)「たくさんのことを感じていただき、ありがとうございます! 暗闇の中で受け取ったことを、日常で活かし継続させていくのは、難しい部分だと思います。今回、リレーショナルをご利用いただきましたが、このプログラムは『対話』をとても重視しています。みなさん、一緒に働かれてまだ日が浅いということで、暗闇の中でたくさん対話をしていただく中でお互いのことを知り、テーマでもある『自分が入りたいと思う施設はどのようなところか』を想起し、この『ふるさとの杜』をどうして運営していきたいかを“素”で語り合い、お互いの気持ちを知り、理解し意思疎通をはかっていただきたいという思いもあって、ご提案させていただいたと思います」

佐橋「さきほど中村さんが話していた暗闇の中でのミッション、うちのチームの取り組みは早く、必然的に役割分担になりました。でも私はそこで、できあがった全体像のイメージが頭の中で想像できていたから、作れたのだと思っています。それをこの施設に置き換えて考えれば、みんな、ああいうことやこういうこともやってみたいというイメージをもって集まって来ている。そのイメージがあっての今だということを、ミッションをやりながら感じました。これまで勤めていたところで『ダメ』と言われてきたことが、ここだったらできるとなると、もうそれだけでやり甲斐がありますよね。みんなが自分のやりたいことを、ここで目指すという思いをずっと持ち続け、忘れないでいてほしい。ここに入職したときに思っていたことが、暗闇研修で再確認できたかなと感じています」

お仕事中の中村様 お仕事中の佐橋様

中村「そうですね。私は、前の職場では仕事が大変で、食事、入浴、排泄という最低限のことしかできなかった。スタッフはいつもバタバタと動いていて、何のために仕事をしているんだろうと悩んでいました。でもここは、外の景色を見て、おいしいお茶とかコーヒーを飲んでもらって、ゆっくりくつろげる場にしていきたい。夢は2020年までに、ご入居者のみなさんをスカイツリーにお連れして、東京オリンピックの会場でも回れたらいいな。そんな話をしました」

佐橋「私は『親孝行プロジェクト』をやりたい。ご入居されている方のご家族が罪悪感を持たれていたり、ご入居者ご本人も家族に迷惑をかけたくないと思っている方はけっこういらっしゃいます。そういった気持ちをなるべく和らげてあげたい。ここにいながらも親孝行できるようなことを1つでも実現させてあげたい。そういうプロジェクトを1年に何回かでもピックアップして、それをここの伝統にしていきたいと思っています。やりたいことはみんな個々にある。それを暗闇で本音で伝え合うことが出来ました」

みきティ「そうですよね。研修でのみなさんは、必ず『自分は』という気持ちをもっていらっしゃいました。ここに一緒に自分も帰ってきたような気持ちになれる場所にしたい。お見舞いではなくて『ただいま』とご家族も戻れるような温かい場所にしたいとか。みなさんいきいきと対話されていて、ものすごく一体感がありました。さきほどの役割分担のお話も、どちらがいいのか今はわからないけれど、どちらの方法をとっても、対話の中で生まれたような気持ちがみなさんあれば、それは絶対にこれから生きてくるし、互いを尊重しながら働いていける。実際ここにお邪魔させていただいて、今もそれを感じて感動しています」

佐橋「振り返りの時に、『あの時(暗闇)は素で話が出来たのに、明るいところに出てきたら言えなくなっちゃった』と言い出す人が何人かいました。また中には、自分の想いを伝え泣き出す子もいました。気持ちを伝えにくくなった時は目をつぶって、暗闇にいた時に戻ろう、みたいな話になりました。確かにその通りで、あの時言えて今言えないのは、見えているから。でも本当は伝えられるということが暗闇でわかったし、聞く耳を持つようにもなりました。また、暗闇の中では支え合わなければ出られない。それは施設も同じで、職員同士が支え合っていかないとダメだと思うんです。日常生活でも仕事でも、『お互いさま』という気持ちを忘れず、それがいい連鎖につながっていくはず。そうしたことが研修を通して経験出来たことで、ひとつの種を蒔いてもらったというか、きっかけになったと思います」

こちらも勇気をいただくようなお話をありがとうございます。6チームすべての研修が終わってから、総括の時間などはもたれたのですか?

インタビューでの集合写真

清水「今回の研修に参加したことについてと今後の抱負を自由に話してください、という時間をとりました。グループ分けはくじ引きで偶然の関わりだったのですが、グループメンバー間の距離感があまりにも近くなっていたので、全体の時間もとりました」

古本「暗闇でも、目を開いているときでも、互いがちょうどいい距離を見つけられたのでしょう。報告を受けて嬉しかったですし、行かせて良かったと思っています。いざ仕事となると互いの感性の違いなども出てくる。最初、リーダーをあえて置かなかったのです。それを、どういう理由で選んでいくのか。暗闇の中でも同じですよね。自分で手を挙げるのか、みんなの推薦なのか。この研修で気づいたこと、それが思いやりであれば、3日で忘れるようなことはない。これはついこの前、実際にあった話ですが、ご利用者の方が食べ物を喉に詰まらせ、ほぼ窒息に近い状態になったときも、全員がぱっと動いて連携できました。介護の技術的な研修も行っていますが、いざというとき、みんなが能力を発揮してくれたことは、研修の成果だと思いたいですね」

中村「ぜひ、もう1回参加したいです。同じメンバーでもまた違うと思います!」

佐橋「本音を聞けた仲間だから、その後の変化を見てみたい、感じてみたいと思いますね。研修の最後に、『その人の良かったことを書いてください』と寄せ書きをしたのですが、嬉しかったです。悪いことはもちろん、いいことも、面と向かって言うことはあまりないですよね。良いことだけをカードとして残してもらえて、自信にもなるし、再認識できる。嬉しい振り返りでした」

清水「今後は、自分たちでこういう研修を受けたいという企画書を書いてみるのもありかもしれませんね。最終的に施設長にいきますが、内容次第では、即答じゃないですかね(笑)」

古本「新たに仲間に加わり、まだ研修を受けていない職員が数人います。この前と同じことをすべて網羅できなかったとしても、やはり全員に体験させたいと思っています」

ありがとうございます。お話をうかがっていて、たくさんの力をいただきました。これからもどうぞよろしくお願いします

(※2015年4月取材)

    ~ご体験されたみなさんのアンケートより~
  • 「つい先程まで、ぎこちない会話だったのが、お互い心を開いて話をすることが出来、暗闇から出て会話をした時に、初めて、私の目を見て話をしてくれたことが、一番うれしくてビックリしました。振り返りでも、みんなが何を感じて、これからどんな風に共に働いていきたいかを聞くことができ、どんなことがあっても前を向いて進んでいける仲間だと思いました」
  • 「可視化できない人の内面に触れることのできる貴重な研修でした。現代人(忙しい人種)の忘れている、見過ごしている部分に気づきました。伝えることの難しさを実感しました」
  • 「人が不安に思っている時に、声かけやスキンシップで安心できることがよくわかりました。入居者さんにとって頼りがいのある存在と思っていただけるような人でありたいです」
  • 「暗闇に入ることで、自分を主張しなくてはという一心から、ふだんの照れや遠慮がちなところがなくなり、素の自分を出すことができました。同じグループの方々の優しさや温かさ、個人個人のいいところが感じられ、心の距離が縮まった気がして嬉しい気持ちです」
  • 「人として大切なこと、なくしてはいけないことを、思い出させていただいたように思います。ふるさとの杜の理事長がなぜ、このような研修導入を考えたのか、自らがよく考え、これからの仕事に役立てたいと思います」
【社会福祉法人 一心会 特別養護老人ホーム ふるさとの杜 かみのもと】http://fm-1.issinkai.or.jp/
施設外観 今年(2015年)2月にオープン(埼玉県東松山市)。入所サービスに特化したユニット型特別養護老人ホーム(10ユニット100床)。「人を好きであれ、人にほめられる喜びを知れ、人を信頼できる豊かな心をもて、そして互いを尊重し合い、日々努力できる向上心を持つ人々であれ」という一心会の理念のもと、「笑顔に勝る介護なし」を日々実践している