導入事例
エーピーアイ株式会社
須田哲生さま(代表取締役)、鈴木由香里さま(ヘルスケアグループ リーダー)、佐々木則和さま(ヘルスケアソリューショングループ)、伊藤昭彦さま(CTO)

アテンドスタッフが電子白杖のモニタリング調査に参加

「本当に外出したくなる付加価値のヒントは“楽しむこと”」

エーピーアイ株式会社
(写真左から)須田哲生さま(代表取締役)、鈴木由香里さま(ヘルスケアグループ リーダー)、佐々木則和さま(ヘルスケアソリューショングループ)、伊藤昭彦さま(CTO)
清水佑亮 様、大崎真実 様、石橋康大 様

「社会のお役に立つ製品をつくっていきたい」。大量生産型ではなく、産学連携をベースとした開発型企業であるエーピーアイ株式会社では、「スマート電子白杖」という、近くの障害物を振動で知らせてくれる電子白杖を開発、販売しています。今回、ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下DID)のアテンドスタッフは、この電子白杖のモニタリング調査という形で協力させていただきました。ご導入の狙いからその後のお話まで、アテンドの江場とともにお話をうかがいました。

まずは、どのような経緯でDIDを知っていただいたのかなど、きっかけを教えてください

須田様(以下、敬称略)「確か2007年ごろだったと思いますが、FMラジオでDIDの体験レポートを聴いて、とても興味をもちました。そこで早速、東京で友人と体験したのです。友人以外は初めて会う方ばかりで、最初はぎこちなかったですし、暗闇ではドキドキしたのですが、人とのつながりを感じ、コミュニケーションの温かさなど実感しました。そして、会社でも大切なのはコミュニケションだと思い、研修として利用できたらと考え、昨年(2013年)、ビジネスワークショップも利用させていただきました」

ありがとうございます! 全社員の方を対象に、ビジネスワークショップ(全2回)をご利用いただいたのですね

伊藤様(以下、敬称略)「須田社長から、社員に体験させたらどうかというお話をいただいて、実は娘と東京で体験をしたんですね。暗闇は、最初の一歩、二歩がとても怖かったですが、時間とともに慣れ、緊張感も薄れていきますし、ニックネームで呼び合うことで心の触れ合いもできて、よかったですね。娘とは途中離れてしまっても、周りの人とうまくやっていて、うちの娘もこういうところがあったんだ、といった知らない一面を見ることもできました。あれは互いにもよい体験でした」

須田「確かに、そういう面もありましたね。ビジネスワークショップで参加させていただいた時も、社員の積極性だったり気遣いだったり、日頃気づけていなかった一面を知ることができました。日常では見えていないけれど、実は彼にはリーダーシップがあるんだ、というように思うことはありました」

佐々木様「暗闇では個性がはっきり出ると思いました。研修では、暗闇でもいろんなことがもっと上手くできると思っていたのですが、ひとつのやり方で進めていると思ったら、別のやり方と二通り出てきて、最後にうまくいかなかったりしましたね。一番印象に残っているのは、感覚が研ぎ澄まされるような感じがしたこと。暗闇にずっといると、誰かが近くにいるのがなんとなくわかるような気がしました」

御社の場合、研究職というお仕事が多いのでしょうか?

伊藤「研究というより開発、ですね。ひとつの製品をつくるために、一人ひとりの業務は違いますが、毎日どこかで互いに接点をもって打ち合わせをしていかないと、製品になりません。意見交換、コミュニケーション、情報の共有というのはとても大切です。意見が違っても感情論にならず、互いの主張を冷静に聞きつつ、意見交換をして、じゃあどうしようという落とし所、方向を決める。そのためには、コミュニケーションですよね。互いを尊重することが大切だと思っています」

須田「社員全員がDIDという体験を共有できたことは、チームワークでも大きな意味がありました」

その後、御社で開発された「スマート電子白杖」のモニタリングのご依頼をいただいたわけですが、そもそもこの電子白杖、どのような経緯で開発されたものなのですか?

スマート電子白状

須田「今から5年くらい前、秋田県立大学(当時)の先生と親しくさせていただいていまして、社会貢献を考えた製品を考えていますとお話があり、一緒にコラボできるのではということから始まりました。そこで当社のグループ企業の秋田精工(株)と共同開発をしていただきましたが、社会貢献という製品の特性が当社の事業の方向性とマッチしていることから、当社に事業を引き継がせてもらった、という経緯があります」

伊藤「電子白杖は、高齢で中途失明された方を主な対象として開発されました。我々がお聞きしているお話ですと、たとえば1級・2級という視覚障害の方が全国で22万人くらいいらっしゃる。その中で、お一人で外を出歩く方は1割に満たない。つまり9割の方は家に閉じこもりきりということなんです。そうした方々のお役に少しでもなれればと思い、機能は限定されていますが、開発させていただきました。DIDさんにモニタリングをお願いしたのは、どういう機能や形状であれば、よりよい商品開発につながるのかというご意見をうかがいたくて、お願いした次第です」

ありがとうございます! DIDのアテンドスタッフは、近所のコンビニまで走って買いに行くほどアクティブなスタッフが多いので、御社が想定されるターゲットの方々とはかなり違う意見・要望も多かったのではと思います。そのあたり、いかがでしたでしょうか?

えばやんとスマート電子白状

江場(以下、えばやん)「僕たちアテンドスタッフでも、電子白杖をほしいという気持ちはあります。ただ、現状から先のものがほしいという気持ちが強いですね。期待が大きいんです。白杖に対してここまで考えてくれる企業があるということ、そして(障害物を)振動で伝えてくれるということはこれまで考えたことがなかったです。ふだん、自分たちの力で歩くことを考えているので。電子白杖があれば、精神的にも楽になるし、もっと別の情報も得られるのではないかという期待のほうが膨らんでしまったので、スタッフみんな、言いたい放題だったかと思います。たとえば、振動をキャッチするセンサーの範囲を縮めてほしい、そうすると行列に並ぶことができるとか、白杖をもっとおしゃれにデコレーションできたらどうなんだろうとか、折りたたみ式の白杖の場合、ボタンひとつで伸ばせたら使いやすいとか。“生活を楽しむ”ためのリクエストがどんどん出てきます(笑)」

伊藤「まさに、そうした情報はありがたいし貴重です。生活に貢献できて初めて、お役に立てると思います。わくわくしてきますね」

えばやん「以前は、生活をするために生きることを考えることが多かったですが、今はどうやったら毎日を楽しく生きていけるかを考えることが多くて、そのためにエネルギーを使うことを惜しみません。たとえば色によって振動が違うとかもいいですね。このあたりは黒いんだとか、水たまりで光っているんだとかわかると、楽しいです」

鈴木様(以下、敬称略)「江場さん、振動の種類というのは、何種類も感知できるものなのですか?」

えばやん「基本的にはわかると思います。右手と左手で感覚も違います。たとえば、点字は右手で書いて、左手で読むんですね。なので、自然と左手のほうが触覚は訓練されていることが多い。ただ、個人差はありますね」

須田「これまで、生活のしやすさが会社の視点でしたが、江場さんがおっしゃる“楽しむため”“どうやったら面白くなるのか”というのは、すごいヒントだと思います。使い勝手以上のもの、ワクワク楽しくなるということが本当の付加価値だと思いました。そうすれば、本当に外に出かけたくなりますよね。それが理想だと思いましたし、たくさんのヒント、アイデアをいただきました」

ありがとうございます! 今後、どんな電子白杖が開発されるのかワクワクします

伊藤「今後もお互いに協力させていただいて、社会のお役に立てるようなものをつくっていけたらと思っています」

鈴木「スマート電子白杖は、地元のライオンズクラブさんなどのご協力を得て、盲学校さんに寄贈していただいたり、購入希望の方への補助の予算をとっていただいたり、イベントなどで体験会を実施したり、ラジオで取り上げていただいたりと、視覚障害者の方に少しでも知っていただき、お役に立てていただけるような活動も続けています」

インタビューにご参加いただいた皆様

知っていただく機会を広げることは大切ですよね。最後にぜひ、DIDをどんな方にお勧めか、教えていただけましたら幸いです

須田「秋田県の人に体験してもらいたいですね。秋田県は高齢化率全国トップなんです。限界集落とかネガティブなニュースが多い中、一人じゃ生きられない、助け合うことも必要。それもDIDのテーマだと思っていますし、高齢者に体験してもらえると、人の温かさなど思い出してもらうことで、生きがいにもつながるのではと思いますね」

ありがとうございました。社会に貢献する製品の開発、これからも楽しみにしています!

(※2014年10月取材)

【エーピーアイ株式会社】http://www.api-kk.com/
エーピーアイ株式会社1983年、秋田県ならびに協和の誘致企業として設立。「地域から世界の技術を創造しよう」との企業理念の元、スマート電子白杖だけでなく、歩行環境シミュレータ「わたりジョーズ君」、自転車を運転する際に起こりうる危険を安全に体験できる自転車シミュレータ、手術時に床に落としたマイクロ針の検知器「ニードルハンター」など、社会貢献のための製品を開発、販売を行っている